事故が原因で障害を持たれたり、死亡したりした場合、障害年金や遺族年金については、損害賠償との間で調整が行われます。
1.第三者行為事故の範囲
第三者行為事故の範囲は以下のようになります。
自動車による交通事故(自損事故も含む)
鉄道・列車による事故
航空機墜落・船舶転覆など
業務災害
通勤災害
傷害・殺人・自殺等
2.損害賠償と年金の調整
■損害賠償を受けると年金が止まる
第三者行為の事故が原因で受給する年金は、加害者側から損害賠償(自賠責保険を含む)を受けることで、最大36か月(3年間)支給停止されます。
支給停止期間:事故発生日の翌日から最大3年間
※支給停止期間は事故後、数カ月間経っても、事故発生日の翌日から最大3年までです。
(最大とは、支給停止期間は特殊な計算によって決定されます。)
※原則、被保険者が損害賠償を支払う側の場合は年金との支給調整はありません。
これは厚生年金保険法上、「政府は被害者(被保険者)が受ける損害賠償に対して保険給付をしないことができる」という規定に基づいています。
■支給停止はいつから?
原則:事故発生日の翌日からですが、支給停止期間の計算上、損害賠償を受領した後、年金の支給停止が開始されます。
■なかなか損害賠償が貰えないんですけど…
損害賠償金を受け取るまでは、年金を受給できます。
要は、年金が先でも、損害賠償が先でも構いません。
その時の状況で判断しましょう。
ただし、事故証明など必要な書類の手続きは進めることをお勧めします。あまり時間が経つと事故当時のことを正確に思い出せなかったり、証明書がとれない場合があります。
■先に年金を受給した場合はどうなるの?
先に年金を受給した場合はどうなるか?
先ほども説明したように、年金の支給停止は事故発生日の翌日から最大3年間です。
ですから、本当は事故直後から最大3年間は年金の支給停止期間となります。
そのため、先に年金を受給すると停止期間に年金を受給してしまっているわけですから、その分をどこかで調整しなければなりません。
その場合、支給停止期間満了後、本来の年金を受給するときに、
支給停止期間内に支払われた年金額に到達するまで、本来の年金額の2分の1が支給停止されることとなります。
(下記の図をご参照ください)
※下記図2年は平成27年より3年となりましたのでご注意下さい。
■障害年金の場合
※障害年金の場合は特別な取り扱いの障害を除き、障害認定日まで1年6カ月を要しますので、実際には丸々支給停止されることは少ないです。