遺族厚生年金には、受給する方の優先順位が決まっています。そこに、支給停止の要件も加えて正確に順番を決めなければなりません。今回はその順位について図を交えながらご説明いたします。
受給する遺族は、遺族の優先順位と支給停止事由で決まる
1.遺族の優先順位
遺族厚生年金の受給できる遺族は配偶者だけではありません。ただし、受給できる人の中でも優先順位は決まっています。この優先順位に気づかず、後から上位の人が見つかった場合、受給した年金を返還しなければならない場合がありますのでご注意ください。
①子のある妻 ②子 ③ 子のない妻 ④夫 ⑤父母 ⑥孫 ⑦祖父母
の順になります。(転給はありません)
※配偶者以外はそれぞれ年齢制限があります。詳しくはこちら
2.主な支給停止事由
遺族年金は妻と子が同一順位にあるため支給停止事由があります。受給権があっても、そこに該当している場合は支給停止となり、支給停止事由が消滅するまで、遺族厚生年金が支給されない場合がありますので注意が必要です。
(支給停止は受給権の消滅ではないので、支給停止事由が消滅すれば再び支給されます)
-
子に対する遺族厚生年金は妻が遺族厚生年金の受給権を有する期間、その支給が停止される。
- 妻が遺族基礎年金の受給権を有しない場合であって、子が遺族基礎年金の受給権を有するときはその間、支給が停止される。
- 子に対しての遺族基礎年金は妻が遺族基礎年金の受給権者である間支給停止される。
- 子に支給される遺族基礎年金はその子の父又は母と生計を同じくするときはその間支給停止される
3.遺族年金の貰い方
上記2のように、支給停止事由があることから下記図のように年金を受給することになります。
図の下に解説がありますので、そちらを参考にして下さい。(図は拡大できます)
解 説
1.子のいない夫婦の場合
-
妻が遺族厚生年金のみを受給できます。
- 子がいないので遺族基礎年金は受給できません。
2.子のある夫婦の場合
- 妻が遺族基礎年金と遺族厚生年金が受給できます。
- 子は支給停止になります。
3.夫婦が離婚した場合
- 子が遺族厚生年金のみ受給できます。
- 子の遺族基礎年金は支給停止になります。
※ただし、元夫(父親)と生計維持関係がある場合のみ
4.夫婦が離婚して再婚した場合
第1順位 子
- 子が遺族厚生年金のみ受給できます。
- 子の遺族基礎年金は支給停止になります。
第2順位 後妻さん
- 子が18歳到達後の3月31日(高校卒業)が過ぎると、後妻さんが遺族厚生年金を受給することができます。
(妻と子が同一順位のため)
5.夫婦が離婚した後再婚し、子供がいるとき
第1順位 後妻さん
-
連れ子がいるため、自分の子が高校卒業するまで遺族厚生年金と遺族基礎年金を受給できます。
※ただし、連れ子と夫が養子縁組をしていること。(卒業後支給停止)
-
A子、連れ子とも母と生計を同一にしているので支給停止になります。
第2順位 A子
- 連れ子が卒業したら、受給権がA子に移り、遺族厚生年金のみ受給できます。
- 遺族基礎年金は母と生計を同一にしているため、支給停止されます。
第3順位 後妻さん
- A子が高校を卒業したら、後妻さんに受給権が戻り、遺族厚生年金のみ受給できます。